銀行からの融資を受ける場合に個人の場合はほとんどありませんが、事業性資金についての大半では資金計画書や事業計画書の提出を求められることがあります。
ここでは個人が銀行でお金を借りる際に、その資金使途についての注意点や事業主が計画書を提出する際に注意したい点についてお話したいと思います。
もくじ
個人の借入では資金使途に注意

銀行からお金を借りる場合に個人で資金使途を表記するケースは基本的にフリーローンに申し込む時が大半です。
この時、数十万円の融資を申し込む際に「生活費」などと記載したら明らかに経済力が低いため、借金でなんとかしようとしているのが見え見えです。
つまり、「返ってきそうに無い」申し込みに見えるわけです。実際には何か用途があって融資に申し込むでしょうから正直に目的を記載するのがいいわけですが、一般的には高額商品の購入や特別な旅行などを計画したいといった理由で申し込まれると銀行側としても素直に審査することができるものと思われます。

事業主が提出する事業計画書

事業計画書は本来会社の運営についての計画で外部に向けて作るものではありません。経営陣の舵取りや従業員の意思疎通を目的として作成することが本来の事業計画書と言えます。
銀行融資の際にはコレに加えて資金計画書なども併せて目を通すことを審査の一部に盛り込んでいる所が大半で、逆にコレなしで融資を決定することは実例を聞いた事がありません。
しっかりと説明できる事業計画書でないとNG
事業計画書は経営理念をベースに業績をアップしていくための計画が盛り込まれると思われますが、あまりにも現実離れした内容のものを作っても意味がないのは当然のことだと皆さん分かっていると思います。

しかし銀行に提出するとなると銀行提出用として随分と羽振りの良い計画書を作ろうと躍起になる方も少なくありません。
しかし、銀行担当者や審査担当者は冷静に第三者の目線で目を通すため、余りに現実離れした計画書を提出されると逆に信用できなくなり融資が否決されるという例もあったようです。
事業計画は常に修正を繰り返しながら業務に取り組んでいくのが現実だと思われます。そのような背景は銀行も理解していますのであくまでも現実的な範囲で計画を作る事が大切です。
悪い所を直す計画は印象が悪い
計画書を銀行が見るのは、計画が現実的なものであるかということと、当然のことながら「お金が返ってくるかどうか」を判断するためです。
事業主の一部は「現在業績が悪いから融資で運転資金をつなげばなんとかなる」という藁をもつかむような心境で融資を申し込む事もあるでしょう。
しかし、苦しいから何とかしてくれという意思が見える計画書は誰が見ても「貸したら返ってこないかも」と思います。
よりよい印象を与えるには「現在伸びしろのある部門に注力することで、より業績をアップできそう(改善できそう)だが、現在はその資金が足りない。」という資金を投入することで起きる変化が良いものであり、現実的であるということを伝える事です。
極端な話「借りなくても営業はできるけど、借りたらもっと業績あがる」というもの。業績が上がるかどうかは未来の話なので解釈は銀行の判断によりますが、重要なのは現在の状態と過去の実績です。
→ 3億3000万を調達したnanapiの事業計画書
裏付けとなる実績9割、可能性の高い予測1割

資金さえ用意できればこんな良い事が起きますよ。我が社は安泰ですよ。
そんな文句で納得するほど銀行は甘くないのは皆さんご承知の通り。
ではどのような計画書を提出すれば銀行を納得させることができるのでしょうか。
審査の内容などは完全に非公開ですので、事例などから推測するとやはり裏付けの無い話はいくら良い事を書いていても意味が無いということです。
些細な事でも良いので、
- 「資金を投入することで業績がアップする理由は過去にこのような例があったから。」
- 「過去の実績でこの様なことがあったから今後の施策には期待が出来る。」
という意味あいが全面に出てくるくらいに、随所に裏付けとなる根拠が必要です。
単なる「たられば」では融資担当を納得させるのは難しいものと考えた方が良いでしょう。感覚的には実績9割:予測1割くらいの内容であれば説得力の高いものが出来上がるものと思われます。
リスクヘッジも配慮して
融資を受ける際にベストな計画書としては、「最悪予想通りにいかなくても他の部門の収益で十分に返済も営業も続けられる」というリスクを一点集中していないということ。
リスク分散していることが理解できれば融資可決へのプラス要素になります。
また、最悪の事態を想定して業績が落ちた状況においても返済が可能なのかどうかと言う点についてもシミュレーションしておく必要も当然あります。
全てが絵に描いた餅で現実はとうてい及びませんでした、では貸した銀行は勿論ですが借りた事業主にとっても最悪の結果となります。
銀行融資で債務が増えるということは、その対策もしっかり出来たもので無いと例え貸して貰えても自滅してしまうことになりかねません。
借りたら終わりじゃない

銀行にもよりますが、事業性資金の融資をうけるとその後の業績についての資料を求められることは珍しい事ではありません。決算書であったり個人事業主の場合は確定申告書など、業績の変動が分かるものを報告する必要があります。
融資を受ける際に提出した計画が結果として数字に表れているかどうかということは、今後の信用となり担保になります。
堅実な経営が見えた時には次に融資が必要となった時に綿密な計画書を提出しなくても担当者や支店長が積極的に動いてくれるようになるなど、その効果は非常に有利なものにつながります。